エンタメに浸っていたい

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NHKを見くびりすぎていた件

透明なゆりかご

 

ここ最近のドラマで一番響きました。

個人的に、ドラマや映画をはじめとするエンターテイメントになにを求めるかって人それぞれで、それによって楽しみ方って変わってくると思うんですけど、

このドラマは娯楽としてではなく、本当に自分と向き合わされるような作品でした。

 

命って何?

 

清原果耶ちゃん演じる青田アオイちゃんの透き通るような声に何度も心を揺さぶられました。

 

うちの家庭は朝ドラも大河ドラマも見ないので、NHKに対してドラマのイメージって本当になくて…祖母がよく見ている演歌とか子供向けの教育番組とかニュースのイメージしかなくて… 自分の目は節穴もいいところでした。

 

思えば、もう一つNHKさんでとても難しい題材を扱っていた素晴らしい作品がありました。

昨年末から全4話で放送された「女子的生活

本当にたまたまなんとなく見始めた作品で、透明なゆりかご以前の唯一のNHK作品。

志尊淳さん演じるトランスジェンダーの女の子みきちゃんのお話。

このドラマを見た時にも透明なゆりかごと同じようなこととを思ったのを思い出しました。

 

「もし自分が子供を育てる立場になったら見せたい」

 

そのように思う作品ってそうそうはなくて。っていうか、今のところこの2つ以外はないです。

 

 

このような類・演出のドラマは民放さんでは難しいんだろうと思います。

決してキャッチーになりえない(というかしてはいけない)題材で、とことん性・命に向き合う作品。

ドラマに”娯楽”を求めている人は多分見ることを選ばないであろう内容。

CMとか他企業との折り合いの必要がないNHKさんだからこそ作れる作品。

 

 

これから、NHKさんの作品は掘り当ていこうと心に決めました。

過去の自分反省しろ。多分お前はいくつものNHKさんの秀作を逃して生きてきたぞ。

 

 

そして、改めて透明なゆりかごについて。

 

と思ったけど、きっと、どんな言葉で透明なゆりかごを語ろうとしても陳腐に思えてしまうんだろうと思うし、この作品は受け取った人それぞれの作品なんだろうと思うので、感想は胸にしまっておきます。

 

でも、役者さんについては語りたいことがたっくさん!!!

 

まずは何といっても青田アオイを演じた清原果耶ちゃんですよね!!

まだ17歳ってマジか… 私なんかよりよっぽど人生経験が豊富そうで、どういう人生を歩んできたんだ…と呆然て感じです。

青田アオイとして確かに存在していて、彼女の声・仕草・目線・表情・動き、すべてから伝わってくるものがありました。

一切癖がないというか、清原果耶であるということを1ミリも作中で感じさせないのって本当にすごいな… 

彼女の出演作は今後一切見逃したくないです。

 

そして、由比先生もとい瀬戸康史さん。

私史上2人目です。お芝居に惚れた俳優さん。(1人目は林遣都さんです。)

もともと透明なゆりかごを観よう!と思ったのも、寝ても覚めてもで久しぶりに瀬戸さんの出演作を観たことに気付き(アタシんちの男子以来)、観れていなかった「先僕」と「海月姫」を観たことが始まりで。とくに海月姫の蔵之介でやられました。もちろんカッコいいとか声がいいとか(非常に思っているけれども)もあるんですけど、表情にやられました。蔵之介が月海を見るときの、自分の感情を押し殺したようななんともいえない表情の演技にこっちの胸がぎゅっとなって、苦しくなって、、、 これ、林遣都さんのお芝居を観た時以来の感覚だ!!と思い、私にはテーマが重過ぎそう…と手を伸ばせていなかった透明なゆりかごにたどり着きました。

 

由比先生、を演じる瀬戸康史さん、すばらしかったですね。私の中で蔵之介で得た直観が確信に変わりました。

 

瀬戸さんは実年齢よりも下の役がきそうなお顔つきで、実際蔵之介もこれから見ようと思っている「できしな」の諒太郎も実年齢より下だし。

でも、この透明のゆりかごでの由比先生は、たしかに30代半ばであろう、結婚して離婚していてもおかしくなさそうな、佇まい・声のトーン・振る舞いであり、そのすべてが由比先生でした。たとえ作中で描かれていなくても、その人物の今にどのような背景があり何を抱えているかが伝わってくる。由比先生については、どうして開業したのかという経緯はなんとなく描かれていますが、そこまで詳細は描かれていなくて。離婚について言えば「離婚して子供もいるらしい」くらいの情報しかないんですよね。で、まさかの元妻登場。そこでも離婚した経緯は描かれていなくて。でも、元妻に対する由比先生の表情や行動から何かが伝わってきて、そのイメージは視聴者の中で一貫していると思うのです。

私の中では、アオちゃんだけでなく由比先生の存在がこのドラマを何倍も厚く深くしてくれました。

 

 

キャスティングから演出から何から何まですんばらしいNHKさんには足を向けて寝られません。

 

この作品を観ていなかったら、私は人生損するところだったし、素晴らしい役者さんを新たに2人も見つけられて、エンタメ好きの私はこれからの人生得した気持ちでいっぱいです。

 

そして、自分が見るか躊躇していた作品が素晴らしかった時に毎度思っているのですが

「食わず嫌いは絶対に損」

 

観る前から判断するのは本当によくない。とくに、お金を払わずに見れるんだったら絶対に1話は見てから判断すべきですね。

 

反省。猛省。