エンタメに浸っていたい

ドラマ・邦画・ときどき舞台と小説

けもなれが私の心をガンガン打ってくる件

けもなれ最終話!!

思ったよりも、自分にすごく響いていたと最終回を観て実感したので書きたくなっちゃいました。

 

まず、けもなれの視聴率について的外れなネット記事に物申したい!!

あくまでも、個人的意見ですけど、この作品、野木さんは視聴率度外視で書きたいものを書かれたんじゃないかなって思います。

 

だって、視聴率狙いのドラマにしてはドラマ的展開がなさすぎる!!!!笑

 

『けもなれ』はとことんリアルに矢印を向け続けた作品に思います。

現在を生きる、獣のように生きられない我々の足を止めてくれるような作品でした。

 

個人的に、ドラマや映画のフィクションで、けもなれのようなリアルに寄り添った作品は、自分と登場人物を重ね合わせる視聴者が多いと思うんです。

今回の場合多くの人が晶もしくは恒星に自分を重ねたんじゃないでしょうか。

そして、多くの視聴者が2人に「自分が現実ではできないこと」をすることを望む。

それを通して、疑似的にストレスを発散できると思うんです。

 

だから、もし、

「晶が社長を追放し、部下を鍛え直し、恋人に喝を入れる」

「恒星が不正から早々に足を洗い、ヘルプした会社の不正を暴く」

そんなストーリーだったら、もっと多くの人たちがこのドラマを見たのだと思います。

でも、このドラマはストーリー的な面白さを求めたわけではない。

 

 

だからその分、我々がドラマに求める展開をとことん裏切ってくる。笑

 

社長は怒鳴るし、部下を少しも顧みない人だけど、“悪人”というよりは、仕事が出来すぎる故に“人の気持ちがわからない人”であって。

(個人的にはめちゃくちゃ既視感ある人物でした。)

それ故に、晶や周りの人が社長に何も言えないのも納得で。

晶をサポートしようとしない周りも納得で。

だって、普通のドラマだったら、佐久間さんなんてまさにヒーローポジですよね!

晶と佐久間さんが手を組んで...

そんな期待さえも裏切り、佐久間さんはひっそり転勤しようとしてるし(苦笑)

しかも部下2人はあんなんで、でも辞められたら人手不足で元も子もないし、何より社長があれだから晶があの2人に厳しくすることはできない...

 

おまけに恋人は、元カノと同棲しちゃうような男で。でも、晶は愛に飢えていて、いい年で元カノさえなんとかなれば結婚も考えられる感じで。色々不満に思いながらも別れは切り出せず、ズルズル付き合って自分をごまかす。

 

脚本きびすぃー

 

そんなこんなで、あのガッキーが終盤までかわいく見えなかったですもん(もちろん顔はいい)

ガッキーの悩殺スマイルを封印し、いっぱいいっぱいの”気持ち悪い”笑顔を浮かべるガッキーのオンパレード!!

会社でも無理をし、恋人にも嘘の笑顔を重ねるガッキー(晶)を見続けるのはなかなか苦しかった。

(これ、空飛ぶ広報室掟上今日子の備忘録、とガッキーのかわいさを武器として書いてきた野木さんだからこそできることですよね笑)

 

でも、その分、生きづらい人々の背中に手を添えてくれるような作品でもあって。

 

個人的にはガッキーと母親の関係の描かれ方が、すごく腑に落ちたし、自分を肯定してもらった気分になりました。マルチ商法に引っかかった母親を見限った”晶”っていう見方は個人的にはポイントになっています。

仕事でも、恋愛でも、頼れる肉親がいないこそ、あのいっぱいいっぱいな晶がいる。

でも、晶に必要なのは血のつながりではない。

この話の中で、例えば母親と晶が和解するようなことがあれば、私にとってはファンタジーになってしまっていました。

切っても切れない血のつながりを説く作品って多いですし、そういうのってあるのかもしれないけど、”血の繋がりに負う義務感”って、人間の義務じゃない。切っても切れない血縁を断ち切る人だっているんです。

この作品は血のつながりじゃなくて、心のつながりをとってくれた。血のつながりがなくてはならないものとして描かれなかったのは救われました。

最終的に肉親である母親とは疎遠だけど、京谷の母親と心からつながりますもんね。

私にとってのこの作品の大きな要素であり、大好きなポイントです。

 

呉羽のバックグラウンドもとてもハッとさせられました。私は完全に晶目線で見ていて、呉羽みたいな人を「自分があって実行できて、自由で楽しい人」みたいな見方をしてしまうんですが、呉羽にだって悩みはあって。人はみんな色々あるっていう、当たり前だけど、いっぱいいっぱいな毎日では見落としがちな事実に気づかせてもらいました。

 

 

恒星も晶も、最終的には自分で自分を解放します。

 

晶は恋人との別れを決断し、恒星は兄と向き合うことを決断する。

そうして、晶は元彼の母親、元彼の元元カノとのつながりを手にし、恒星は兄弟を取り戻す。

 

そうして手にしたものが、自分が自分でいられる場所になっていく。

 

晶と恒星の最終的な関係も、あの時一線を越すという2人の“決断”の結果であって、一歩踏み込んだより心地いい関係を手に入れるには必要な決断だったんだと思いました。

 

手を伸ばせば届く距離にいる人と手と手を繋ぎあって生きて行く。獣になれなくても、ならなくても、決断の先に未来はある。

私はそんなメッセージを受け取りました。

 

「自分が“自分”でいること」を問いかけてくるとても心に響いたドラマでした。

 

晶と恒星に鐘がなりつづけますように。

 

見終わったら、大好きすぎてどうしよう。

 

野木さん、キャストさん、スタッフさん、この作品を届けてくれたことに、本当に感謝です。

ありがとうございました。

 

 

ちなみに松田龍平さんの色気にやられてます笑

あの綺麗な手と雰囲気は反則!!!